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なぜこの値段?”高級”ワインの理由とは

2022.06.13

#歴史#DRC#ブルゴーニュ#ボルドー#ナパ#5大シャトー

ワインには“高級”というイメージがありませんか?
確かに何万、何十万といった高額なワインもありますが、テーブルワインと呼ばれる安価なワインもありますよね。しかし、“高級”ワインと安価なワインのブドウは、同じ品種のことがあるのです。同じ品種のブドウを使ったワインにも関わらず、なぜ値段に大きな差が出てくるのか不思議に思い、その背景を調べてみました。
その結果、“高級”ワインには、長い歴史や製造方法へのこだわり、希少性など、様々な要因が価格に反映されていることがわかりました。そこで今回は、フランス産“高級” ワインの中からブルゴーニュ/ボルドーそれぞれひとつずつと、カリフォルニア産から私の好きな銘柄ひとつを選び、ご紹介させていただこうと思います。

DRC ロマネ・コンティ――“高級”ワインの代名詞

フランスのブルゴーニュ地方で作られる「DRC ロマネ・コンティ」は、“高級”ワインの中でも超有名、ワイン通でなくとも耳にしたことがある銘柄だと言えましょう。しかし、その名称「ロマネ・コンティ」が製造者の名前ではなく、畑の名前であることをご存じでしょうか。
ラベルには畑の名前が大きく書かれ、それに比べて製造者(醸造家)の名前はとても小さく書かれています。そこから、ブルゴーニュ地方では醸造家よりも畑が重視されている、ということが読み取れます。「ロマネ・コンティ」という畑は面積が非常に小さく、約1.8ha(サッカーコート1面ともう少しくらい)、ゆえに年間生産量は5,000本~6,000本程度と非常に限られます。また、ラベルにある「モノポール」という印字は、「DRC」社が「ロマネ・コンティ」という畑を所有する唯一の生産者であることを意味します。
素晴らしい畑から生まれる素晴らしい品質のワイン、それに加え上記のような要因から極めて希少性が高いことが、「DRC ロマネ・コンティ」が“高級”ワインと言われるが所以であると言えます。

シャトー・ラトゥール――世界屈指のボルドーワイン

ボルドーワインでは「5大シャトー」が有名なことは一般的ですね。
「5大シャトー」とは1級シャトーを意味し、こういったワインの格付けは、1855年に開催されたパリ万博にて当時の皇帝ナポレオン3世が、ワインを世界に広める為に始めたと言われています。ちなみにその当時は4つしか存在しなかった1級シャトーは、現在では5つあります。いつ、なぜ増えたのか?それはまた別の機会にお話しします!
「5大シャトー」の中でも屈指の“高級”ワインと言われる「シャトー・ラトゥール」は、1787年ワインの格付けが始まる以前の記録にも、他シャトーの20倍近い価格で取引されていたとあります。こういったことから、非常に歴史があるということも“高級” と言われる重要な要因です。
「ラトゥール」は現代においても品質が常に安定しており、不作や天候不良に悩まされた1991年と2003年でもパーカーポイントで高得点を獲得しています。ワイン評論家の意見は価格に大きく影響を与える為、高水準の品質を安定して提供できるということが、「ラトゥール」の“高級”と言われる所以でしょう。

スクリーミング・イーグル――キングオブカルトワイン

今日、世界中でワインは作られるようになりました。たとえ原材料のブドウが同じ品種であっても、その土地の風土や気候などによって大きく味が異なります。“高級”ワインが多く存在するヨーロッパ以外の、評価の高いワインをひとつご紹介します。
アメリカのカリフォルニア州ナパ・ヴァレーのオークヴィルには、世界中に熱狂的なファンを持つ「カルトワイン」を製造するワイナリーが多く存在し、その代名詞と言われるのが「スクリーミング・イーグル」です。
1992年のデヴューヴィンテージにいきなり99点のパーカーポイントが付けられたのが始まりです。それから毎年のように高得点を獲得し、今ではナパ・ヴァレーで最も入手困難なワインとして、世界中のワインコレクターの垂涎の的となっています。
年間出荷量は約5,000本、購入権は12年待ちとも言われ、2000年のオークションではマグナムボトルに50万ドル(当時で約5,300万円)の値が付き話題になりました。

いかがだったでしょうか。
今回は有名な“高級”ワインの一部を取り上げてご紹介いたしました。
古くからの伝統を受け継ぎ今なおその地位を持ち続けているワインや、歴史は浅くとも革新的な試みでスターになったワインなど、様々な“高級”ワインが世界中に存在します。ここでは紹介することができませんでしたが、今注目の「シンデレラワイン」と言われる一躍“高級”ワインの仲間入りをしたワインのことは、また別の機会にご紹介したいと思います。