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“大衆酒”とは言わせない!ジムビームのリアルとは

2022.06.13

#歴史#バーボン

「居酒屋でよく飲むバーボンは?」という問いへの最も多い答えは、「ジムビーム」ではないでしょうか。
実際に2010年代には、日本国内のバーボンシェアの半分を占めていました。
1本1,000円程度で楽しめる”大衆酒”という印象が強いジムビームですが、高級なボトルも販売していることをご存じでしょうか。
今回は、ジムビームのあまり知られていない部分についてご紹介します。

ジムビームとは

ジムビームの歴史は古く、アメリカで約200年以上稼働している蒸留所です。現在はバーボンで有名ですが、創業当時は農業が主軸で、その傍らでウイスキー造りを行っていたということです。副業的に始めたウイスキー造りが非常に評判よく、その後本格的に取り組み今に至ります。現在では100以上の倉庫に400万樽ほどのウイスキーを貯蔵しているとのことです。

ジムビームの高級志向バーボン!スモールバッチコレクションとは

出荷量、輸出量、生産量でバーボンのトップに位置するジムビームですが、少量でしか生産していない「スモールバッチコレクション」というクラフトバーボンが存在します。クラフトバーボンとは、大量生産の通常バーボンと違い、原料から貯蔵までの過程全てにおいて、作り手の意図や思想を反映して作ったバーボンのことを言います。生産量自体が非常に少ない為、プレミア価格がつくこともあります。
通称「スモールバッチコレクション」と呼ばれるクラフトバーボンには、「ブッカーズ」「ベイカーズ」「ベーシルヘイデン」「ノブクリーク」の4種類があります。80年代後半から90年代初頭に、6代目ブッカー・ノオが製造を始めました。

スモールバッチコレクション4種類の特徴

4種類の中でも最も有名な「ブッカーズ」は、マスターディスティラーであるブッカー・ノオの名前にちなんでつけられました。ジムビームで最高級ランクに位置づけられるブッカーズは、6-8年の熟成を経た秘蔵の樽から、最高の状態のものだけを厳選して造られるバーボンと言われています。非常に香り高く、バランスも絶妙で、深い余韻も持ち合わせる至高のバーボンと言われています。ジムビームを代表するに相応しいボトルです。

「ベイカーズ」は、ジムビーム社の最上の酵母を使い、7年間熟成させて造られます。4代目当主ジム・ビームの甥の息子”ベイカー・ビーム”にちなんで名付けられたそうです。アルコール度数は53.5度と高く聞こえますが、バランスの取れたマイルドな味わいです。親しみやすい、フルーティかつバニラの香りを感じる香り高いバーボンと言われています。

「ベーシルヘイデン」は、1796年という非常に古いレシピを参考に製造されるバーボンです。他のシリーズと比べるとライ麦の使用量が2倍以上で、スパイシーな仕上がりになっています。アルコール度数は40度に抑えられており、バーボン本来の口当たりの良さを感じることが出来ます。

禁酒法以前の本来のバーボンの味を復活させたいというブッカー・ノオの意向により、製造が開始されたのが「ノブクリーク」です。ケンタッキー・ヒルにある小さな川の名前にちなんで名づけられたバーボンで、特殊な方法で焦がした樽で9年の熟成を経て、手作業によって50度でボトリングされます。バーボンにしては珍しく9年という樽熟成を経ている為、非常にリッチな香りとライ麦のスパイシーなフレーバーで、重厚感のある仕上がりのバーボンと言われています。

まとめ

「スモールバッチコレクション」の名に恥じない個性的なこの4種類のバーボン。マニアの間でも一度は手にしたいとの評判ですが、2019年に起きたジム・ビームの貯蔵庫への落雷による火災によって、樽数にすると4万5000樽、本数にして約1300万本ものバーボンが焼失したという残念な事故がありました。流通には問題はなかったようですが、2019年に製造された「スモールバッチコレクション」が伝説のボトルとして高騰する日がくるかもしれません。見逃せないですね!