サントリーやニッカを筆頭に、世界的な人気を誇るジャパニーズウイスキー。
今や山崎ノンビンテージですら、店頭で見かけることが出来ればラッキーという時代になりました。ジャパニーズウイスキーファンの方々はやるせない気持ちをされているのではないでしょうか。
そこで、あの山崎12年を手頃に飲める方法をご紹介します!
「山崎」の軌跡
日本を代表するシングルモルトウイスキー山崎12年。現在では、飲むことも手に入れることも困難になっています。
いざ飲むチャンスが巡ってきたとしても、味わうまでの余裕がなかったり実にもったいない! 名所旧跡へ観光する際、予備知識のあるなしで感動が大きく違うのと同じように、これだけ貴重なウイスキーを飲むのであれば、軌跡などの予備知識を持って飲むことをお勧めします。
サントリー成長の起源はリキュールだった
今でこそサントリーの中核を担うウイスキー事業ですが、「寿屋」と呼ばれた当時に成長を支えた のはウイス キーではなく、「赤玉ポートワイン」(現称:赤玉スイートワインというリキュール でした。
ウイスキーのパイオニアでもあるサントリーの創業者、鳥居新次郎は、1899年「鳥居商店」を開業し、ワインの販売を積極的に行っておりました。
しかしながら当時の日本にはワインが浸透しておらず、売るのに苦労した鳥井新次郎は試行錯誤を重ねて赤玉ポートワインを開発します。
積極的な宣伝活動を行った結果全国流通に成功し、寿屋は急成長を遂げます。
赤玉ポートワイン一本で業績も安定してきた頃、思わぬ偶然からウイスキーの販売を手掛けることと なります。
ウイスキーのアイデアは「リキュール用アルコール」
ウイスキーの製造とは無縁だった寿屋ですが、ある時、 倉庫に置かれていたリキュール用のアルコールを詰めたワインの古樽を、 新次郎が興味本位に試飲しました。
ただのアルコールが香り高いウイスキーに変化していることに驚き、商機があると感じた新次郎は、本格的にウイスキーの製造に取り掛かることにしました。
従業員たちの猛反対を押し切り、1924年に山崎蒸留所を竣工し、1929 年には寿屋初のウイスキーである 「サントリーウイスキー白札」を発売します。
発売当初は、世間的にウイスキーが浸透していないこともあり、ウイスキー固有の香り「ピート香」が焦げ臭いと評判はあまり良くなかったそうです。
不評にもめげず研究を重ねた結果、1937年に発売の「やすい、うまい」をキャッチコピーとした「角瓶」が多くの酒場に浸透していき、最も親しまれるウイスキーの開発に成功します。
その後も、高級志向の「オールド」や「ローヤル」など、現在でも馴染み深いウイスキーを発表します。今でこそサントリーの代名詞とも言われるシングルモルト「山崎」ですが、角瓶が発売された約 50年後の1984年に発売、意外にも最近のことでした。
大麦以外の穀物を使用したグレーンウイスキーをブレンドする、ブレンデットウイスキーが主流だった当時では、かなりマニアックな商品だったようです。
「山崎 」の味わい
様々な樽で熟成した原酒を使っている為、一言でいうと「複雑な味わい」をしています。
イチゴやさくらんぼなどの赤い果実のフルーティーさを持ちつつ、はちみつのような甘味など親しみやすい味わいをしていることが特徴です。
実は身近なところにあった山崎12年を楽しむ方法
そろそろ本題に入ります。一体どこに山崎12年を楽しめるお店があるのか。
サントリー直営のバーや高級ラウンジなどのお店などをイメージされる方が多いのではないでしょうか。しかし、なんとあの大手居酒屋チェーンでも楽しむことが出来るのです。
商品としては「山崎12年」という名称ではなく「山崎蒸留所12年」で販売されてますが、ボトルあたりのお値段は「山崎12年」の定価を大きく下回る、なんと税込み 6,598円。
1ショット税込み768円で、あの「山崎12年」を楽しむことができるのです。
安さだけではない、贅沢すぎる原酒の内容
前出の大手居酒屋チェーンの提供する山崎12年は、市販の「山崎12年」に比べても非常に贅沢な内容となっているそうです。
市販の「山崎12年」は、バーボン樽、シェリー樽、ミズナラ樽といった3種類のモルト原酒を使用しており、バランスの取れた香り豊かなウイスキーといわれております。
大手居酒屋チェーンの提供する「山崎蒸留所12年」は、シェリー樽原酒を通常よりも多く使用しているそうです。
世界的にも高い評価を受けている、山崎のシェリー樽原酒を多く使用しているウイスキーを、お手頃価格で楽しめるお店はおそらくここだけと言えるでしょう。
いかがだったでしょうか?
まさかこれほど身近に「山崎」を飲めるお店があるなんて!と、驚かれた方も多いはずです。こういった発見もお酒の楽しみ方のひとつであると思います。
ここまで読んでくださった皆さまへの感謝と共に、より一層お酒文化が発展することを祈りながら…今夜もどこかでグラスを傾けることとします。