50代におすすめのウイスキー

今回は50代向けに質にこだわって作られたウイスキーと、少し変わった製法のウイスキーをピックアップしました。
プレゼントにもご自身で飲む用にも、気になるウイスキーと出会えますように。
目次
上質なものを、少しずつ

50代になると、人生経験とともにウイスキーの経験値もかなり高まり、より深みや複雑さ、そのウイスキーの持つストーリー性などを求める方も多いでしょう。
作り手の思いやこだわりの技術、精神などを反映し、かつ世界的に評価の高いウイスキーをメーカーのストーリーとともにご紹介します。
マッカラン
マッカランには生産において大切にしている6つの柱があります。手間やコストを惜しまない姿勢に胸を打たれませんか?
1.イースターエルキーズハウス
1700年に建設された邸宅で、蓄積されてきたマッカランの歴史が、蒸留所で働く人々を現在も精神面から支え続けているマッカランの象徴です。
2.小さなポットスチル
スペイサイド地方でもっとも小さい蒸留器のひとつで、マッカランのリッチな味わいを生み出す重要な役割を果たしています。
3.ニューメイクスピリッツを厳選
ニューメイクスピリッツ(蒸留直後の原液)を全体のわずか16%ほどに厳選する「ファイネストカット」の工程により、ベストオブベストの味わいを実現します。
4.樽へのこだわり
木の伐採から樽の組み立てまでを6年かけてすべて自社で行います。
5.ナチュラルカラー
ボトリングしたウイスキーの色を統一するためカラメル色素で着色するブランドがほとんどである中、マッカラン蒸溜所でボトリングされたウイスキーはすべて無着色です。
6.比類なきウイスキー作りの精神
トップオブトップを追求する精神と職人たちの卓越した技術が、今日も最高峰品質のスコッチを生み出しています。
サントリー山崎
サントリー創業者・鳥井信治郎氏の「日本人の手で世界に誇るウイスキーをつくりたい」「日本人の繊細な味覚に合うウイスキーをつくりたい」という情熱から、1923年に日本初のモルトウイスキー蒸留所「山崎蒸溜所」が建設されました。その61年後の1984年、二代目社長でありマスターブレンダーでもあった佐治敬三氏によって“日本初のシングルモルトウイスキー”山崎が誕生しました。
誕生から19年、2003年にはISC(世界的な酒類コンペティション)で山崎12年が日本初の金賞を受賞し、その後も世界的に評価が高いジャパニーズウイスキーの代表格としてトップに君臨し続けています。
全銘柄、大量生産ができないため、スーパーや一般的な酒屋では取り扱いされていないことが多く、気軽に入手できない希少性はプレゼントとして最適です。予算に合った銘柄を探して贈ってみてはいかがでしょうか?
ニッカ竹鶴
戦後、三級ウイスキー(原酒混和率5~0%の低価格ウイスキー)が市場を占めていた状況下で、「日本人に本物のウイスキーを飲んでほしい」という信念に基づき、経営ギリギリまで一級ウイスキーを作り続けたのが“日本のウイスキーの父” と呼ばれるニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏です。
日本でブレンデッドウイスキーが主流だった時代には、「ブレンデッドウイスキーのように飲みやすいモルトウイスキーを作りたい」という思いから2000年に「竹鶴12年ピュアモルト」が誕生しました。北海道余市蒸溜所と宮城県宮城峡蒸溜所のモルト原酒をヴァッティングして作られています。
実は竹鶴氏、ニッカウヰスキー創業前には寿屋(現サントリー)の山崎蒸溜所の建設に携わり、工場長としてウイスキーづくりに貢献した歴史もあります。
まさに“ウイスキーに生きた男”、竹鶴氏の生涯を覗き見ながら、味わってみてはいかがでしょうか。
ベンチャーウイスキー イチローズモルト
ベンチャーウイスキー創業者・肥土伊知郎氏の実家が経営していた東亜酒造は経営不振のため日の出ホールディングスに買収されることになります。その際ウイスキー事業からの撤退が決定し、当時保管していたウイスキー原酒の熟成樽約400樽を廃棄する事態に陥ります。その原酒たちを見捨てることができなかった肥土氏が樽をすべて引き取り設立したのがベンチャーウイスキー社です。
設立は2004年と割と歴史が浅いように感じるかもしれませんが、設立の時点で20年以上の熟成原酒が手元にあったことですぐにボトリング、販売することができ、設立からわずか2年後にはイギリスの権威あるウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」のジャパニーズウイスキー特集にてゴールドメダルを受賞しました。翌年にはウイスキーマガジンが主催するWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)のジャパニーズウイスキー部門で高い評価を得ることに成功し、現在はサントリー、ニッカに続くジャパニーズウイスキーの生産者として世界にその存在感を確立しています。
イチローズモルトは1万円前後で買える銘柄もいくつかありますので、ぜひ探してみてください。
キリンシーグラム エバモア
キリンシーグラム社は1972年、キリンビール株式会社と、アメリカのJEシーグラム社、スコットランドのシーバスブラザーズ社の3社による合弁会社として設立されました。「日本の風土や食文化に合ったウイスキーを作り、日本のウイスキー市場に新たな選択肢を提供する」という目的で結集し、それぞれが持つ製造技術やノウハウを持ち寄って本格的なウイスキー製造を目指しました。
翌年、静岡県御殿場市に富士御殿場蒸溜所が建設され、シーバスブラザーズ社のモルトウイスキー製造技術と、シーグラム社のグレーンウイスキー製造技術が導入されます。こうしてモルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方を製造し、ボトリングまで一貫して行う世界的にも珍しい施設が誕生しました。
エバモアは1999年~2005年の間、毎年限定品としてリリースされた幻のプレミアムブレンデッドウイスキーです。モルト原酒、グレーン原酒ともに21年以上熟成されたものを使用し、その年の最高のブレンドを目指して作られた特別なシリーズです。2005年を最後に終売していることと、販売期間が短かったことから希少性が注目され、当時の販売価格の約3~5倍程で取引されています。ややマニアックなプレミアムウイスキーのため、ウイスキーに詳しい人へプレゼントすればきっと喜んでくれるはずです。
今までになかった!変化球ウイスキー

新たな出会いや新鮮な刺激を求めるなら、こんなウイスキーはいかがでしょうか?
シングルモルト駒ヶ岳 屋久島エージングシリーズ
2014、20119、2020、2021とこれまでに4回リリースされているシリーズです。
長野県・マルス信州蒸留所で蒸留し、遥か遠くの鹿児島県・屋久島までわざわざ樽を運んで熟成させたシングルモルトウイスキーです。
冷涼な環境のもと造られた原酒を、雨が多く湿潤な気候の中で熟成させたウイスキーは、ゆっくりと時間をかけて穏やかに熟成が進み、繊細で複雑な味わいになります。
熟成期間はそこまで長くないものの、熟成方法にこだわったウイスキーをぜひ試してみてください。
ベンチャーウイスキー イチローズモルト ダブルディスティラリーズ秩父×駒ヶ岳2021
イチローズモルトとマルスウイスキーの共同企画で誕生したこちらのウイスキーは、各蒸溜所のニューメイクスピリッツ(蒸溜直後のまだ熟成していない無色透明の原酒)を交換し、それぞれの地で熟成して自社のモルト原酒とヴァッティングしボトリングしたものです。イチローズモルトは埼玉県の秩父蒸留所、マルスウイスキーは長野県に信州蒸溜所があり、蒸溜所を取り巻く環境は大きく異なります。
原酒を交換して複数の蒸溜所で作られた原酒をヴァッティング(ブレンド)することはスコットランドでは一般的に行われていますが、日本でニュースピリッツを交換するのは初の試みでした。ほかにニュースピリッツを国内で交換した例は現時点では確認できていない(2025年7月現在)ため、非常に珍しいウイスキーという位置づけになっています。
ちなみにマルスからリリースされたのは「マルスウイスキー モルトデュオ 駒ヶ岳×秩父 2021」です。
グレンフィディック プロジェクトXX
グレンフィディックのエクスペリメンタル(実験的・試験的)シリーズの第二弾です。コンセプトは「(使用する原酒を)いつもは1人のモルトマスターが選ぶが、今回は世界中の目利き20人が選ぶとどうなるか試してみよう」という、多様な好みや感性をブレンドする実験でした。
世界16か国から招集された20人のモルトマスターたち(バイヤー、評論家、バーテンダー、インフルエンサーなど消費サイドの人たち)が、グレンフィディック蒸留所の何千もの樽の中からテイスティングを重ねて20樽を選び、それをグレンフィディックのモルトマスターであるブライアン・キンスマン氏がヴァッティングしたシングルモルトです。選ばれたのはバーボンバレル17樽、シェリーバット2樽、ポートパイプの原酒1樽です。本来1人で選ぶ原酒を20人が選んだことでアンバランスな味わいになるかと思いきや、案外そうでもないレビューが多いようです。一度試してみては?